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嶋本亜衣の都市伝説講座 に

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File No.40 …… 牛の首

 

 ねえ、犬先君。

 さっきから亜衣の姿が見えないんだけと、どこに行ったかしらない?

 

 島本か?

 さっきまで、その辺にいたような気もするが……。

 

 

モォォォォォッ!!!

 

 ちょっ……!

 い、いきなり何なの!?

 牛頭の怪人……。

 さては、牛頭天王の祟りを受けた不埒者か?

 調度いい……久々に、この俺が向こう側の世界の住人が齎す闇を払ってやろう……。

 す、すと~っぷ!

 私だよ、美少女都市伝説探偵の亜衣ちゃんで~す!

 ちょっと牛のマスク被ってただけで、素顔はぷりてぃなんだから、乱暴はやめてね!

 なんか、色々と突っ込みどころが多過ぎる名乗りだけど、まあいいわ。

 で、これは何の冗談なの?

 季節外れの、仮装パーティでも始めるつもり?

 う~ん、そんなつもりはないんだけどね。

 ただ、今日の話題が牛に関係することだったから、ちょっと雰囲気を出そうと思ってみただけなんだよ。

 牛に関する話だと?

 大方、どこぞの牛肉に謎の添加物が使われているだとか、ハンバーガーの肉にミミズやカラスの肉が使われているとか、そういった類の話ではないのか?

 ふっふっふ……残念だけど、全然違うよ。

 なん立って、今日の話は私の知ってる中でもスペシャルな内容……とてつもなく恐ろし過ぎて、聞いたら正気を保てないっていうくらいの話だからね!

 

 正気を保てないって……そんな話、迂闊にしちゃって大丈夫なの?

 

 その辺は、心配しなくても大丈夫だよ。

 さて……まずは気になる話のタイトルだけど、これはズバリ『牛の首』っていうんだ。

 

 なるほど、それで牛のマスクを被って来たというわけか。

 それで……肝心の内容は、どんなものなんだ?

 まあまあ、慌てない、慌てない……。

 さっきも言ったけど、この話は物凄く恐ろしい話でね……。

 聞いた人が次々に発狂したり、死んじゃったりしたから、だ~れも詳しい話は知らないんだってさ。

 ……以上、本日の都市伝説講座でした~♪

 

 …………。

 ……はぁ?

 ちょっと……もしかして、それで終わりなわけ?

 さんざん引っ張っておいて、肝心なところが何も解らないままなんだけど!

 だって、そんなの仕方ないじゃん!

 聞いたら死んじゃうような話だから、細かいところまでは解らないんだよ。

 ただ、と~っても恐ろしい話だってことだけが、延々と語り継がれてるってタイプの話なんだからさ!

 

 ほとんど出オチのようなネタだな、これは……。

 だが、話の詳細が解らないからこそ、都市伝説らしい話とも言えるか……。

 

 どういうこと?

 単純なことだ。

 知ってはいけないとされることに対して、強い興味を抱くのが人間の性だからな。

 話の内容を敢えて伝えないことで、この話を聞いた者は詳細を知りたくなり、様々な者に『牛の首』の話を聞いて回るはずだ。

 その中に、一人でも真相を知っている者がいれば、ということなのだが……実際は、話を聞かされた方が好奇心を刺激され、同じことを他人に繰り返して回るだけとなる。

 そうやって、一種の伝染病のようにして、中身がないのに噂だけが一人歩きし、延々と広がって行く性質を持っている話ということだ。

 

 


 そう考えると、一気に不気味な話になって来たような……。

 でも、話の中身がないことは、やっぱり変わりないのよね?

 だったら、こんな噂なんて、すぐに消えちゃいそうな気もするけど……。

 ふっふっふ……ところが、そうは問屋が卸さぬのですよ、照瑠殿。

 人間って、意味不明の話があると、答えを無理やりにでも作りたくなるものみたいだからね。

 今までにも何回か、『これが本当の牛の首の話だ!』っていうのが、出回ったことがあるんだよ。

 

 本物の話!?

 これって、誰かが流した単なるジョークみたいなものじゃなかったの!?

 そこは、私には何とも言えないね。

 私が聞いたことあるのは、まずは『小学校の先生がバスの中で話した怪談』っていう説かな?

 最初は遠足の途中で先生がレクリエーションのつもりで話したらしいんだけど……途中から、あまりの怖さに脅えまくる子が続出しちゃったらしくてね。

 あちこちで耳を塞いだり、泣き出したりする子がいたんだけど、それでも先生は話を止めなかったんだってさ。


 

 なんだか、随分と酷い話ね。

 子どもが泣いてるんだから、さすがに止めてあげればよかったのに……。

 まあ、そう思うのが普通だよね。

 でも……その時の先生は、まるで何かに取り憑かれているような様子だったらしくてね。

 そのまま話を続けていると、とうとうバスの運転手までが、恐怖のあまりにバスを止めちゃったらしいんだ。

 そして、気が付いたら子ども達も、全員が泡を吹いて失神していたんだってさ。

 なにやら、急にオカルトめいた話になって来たな。

 だが……この話が真実だったとしても、やはり『牛の首』の内容については不明のままだな。

 子どもの失神を絡めることで、語るのを禁ずる理由づけにはなっているが……。

 う~む……そう言われると、実際に身も蓋もないのですが……。

 あ、でも、安心してね!

 牛の首の『内容』に関する話も、ちゃ~んと仕入れてきましたので。

 

 今度こそ、その内容が聞けるというわけか?

 まさかとは思うが、下らない冗談や一発ネタで終わるようなオチではないだろうな?

 さすがに、ここまで引っ張って、そんなオチにするつもりは私もないよ。

 ただ、代わりに物凄~く重たくて気持ち悪い話ってことは確かだけどね。

 

 これは、江戸時代の頃の話らしいんだけど……飢饉で苦しんでいる南の村に、北の村から牛の被り物をした人が、ふらふらと迷い込んで来たんだってさ。

 

 さっきの、あなたみたいな恰好をしていた人ってわけね。

 でも、それだけじゃ、全然怖くなさそうだけど……。

 まあ、そこは最後まで話を聞いてから判断してよ。

 で……不審に思った南の村の村人達が牛頭の人を捕まえようとしたとき、北の村の人達が、松明を持って現れたんだ。

 そして、物凄く鬼気迫る表情で、「これは牛追いの儀式だ。誰にも言ってはいけない」とだけ言って、そのまま牛頭の人を連れて北の村に帰っちゃったんだって。


 え……?

 も、もしかして、それで終わりなの?

 何だか思っていた以上に、全然怖くないんだけど……。

 うん、普通はそう思うよね。

 でも……実は、この話には後日談があってね。

 当時、飢饉で食べ物が何もなくなった北の村では、とうとう人の肉を食べていたらしいんだ。

 その罪悪感を消すために、生贄になった人に牛の被り物をさせて、『あれは牛だから、殺して食べても構わない』ってことにして、無理やり納得していたらしいんだよ。

 その後、この南村出身のお爺さんが明治時代になってから臨終の間際に息子達に真相を語ったり、調査に出掛けた民族学者が北村の跡地から大量の人骨を発見して、北村の人が全滅したって証拠を見つけたりするところで話は終わるんだ。

 


 そんなこと言われると、なんだか急に気持ち悪い話になって来たわね。

 でも、やっぱり思っていたほど怖い話って印象はないかもしれないわ。

 むしろ、考え方によっては、『可哀想な話』とも受け取れそうだし……。

 確かにな……。

 だが、妙だとも思わないか?

 島本は『北の村の人間が全滅した』と言っていたが……互いに共食いを繰り返したとして、最低でも一人は生存者がいそうなものだがな。

 この話を後世に伝えたり、証拠を残したりするための人間としても、な……。

 おや、なかなか鋭い突っ込みですな、犬崎君。

 実は……この話には続きがあってね。

 最後に、全ての話を聞いた後で、聞いた人達も気が付くんだよ。

 

 少なくとも一人は、生き残りがいなければならない……と、いうことは、本当に北村の人達は食人で全滅したのか。

 同じ飢饉で食べる物に困っていたのに、なんで南村の人は全滅していなかったのかっていう謎と、その答えにね。


 えっ?

 謎もなにも……普通に、北の村の人達が、お互いに殺し合って滅びちゃったっていう話じゃないの、これ?

 いや……そう、単純な話でもなさそうだぞ、これは。

 だいたい、考えてもみろ。

 仮に北村の人間が全滅していたとして、それが食人の結果であるという忌まわしい記録を……それこそ、牛の頭を被せて罪悪感を減らさなければ行えなかったような黒歴史の記録を、誰が残したんだ?

 そして、そもそも南村の人間は、なぜ飢饉でも滅亡していなかったんだ?

 恐らく、謎を解く鍵は、ここにあると思うんだが……。


 犬崎君の、言う通りだよ。

 これは、あくまで噂なんだけどね……本当に『牛追いの儀式』をやって食人をしていたのは、実は北村じゃなくて南村の人達だったんじゃないかって言われているんだよね。

 しかも、生贄にされたのは同じ南村の人達じゃなくて、北村の人達だったっていうオマケ付きでね。

 そ、それじゃ……自分達の過ちを認めたくないために、わざと微妙に真実を歪めて残したり伝えたりしてたってわけ!?

 だとすれば、確かに闇の深い話ではあるけど……。

 だが、それでもやはり、とってつけたような内容の話に思えなくもないがな。

 恐ろしい話には違いないが、聞いて発狂するようなものではない。

 都市伝説としては、まあ在り来たりの話の一つに過ぎない印象だ。

 そう言われちゃうと、確かにその通りなんだけどね。

 まあ、人間は好奇心旺盛な生き物だから、なんとか意味不明な怪談話の噂に答えを出したくて、どこぞの誰かさんが創作した話とも言われているし……そもそも、実態のない『牛の首』の話自体が、小松左京先生の小説が元ネタとも言われているしね。

 

 なんだか、そう言われちゃうと、急に怖さが半減しちゃった感じね。

 幽霊の、正体見たりなんとやらってところかしら?

 そうだね。

 でも、私はまだまだ諦めませんぞ!

 ネット上には、他にも『牛の首』みたいに『正体は解らないけど怖い話』っていうのがたくさんあるわけで……それを集めて行けば、いつか真実に辿り着けるかもしれないよ。

 そもそも、古来より妖怪や魑魅魍魎の類とは、『正体は不明だが、とにかく恐ろしい物』とされていたからな。

 そう言う意味では、この『牛の首』の話自体が、現代が生み出した妖怪そのものなのかもしれないな。

 本ページの画像は、一部、ギャラリー田園調布様キャラメイクファクトリーを使用して作成させていただきました。

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