みんな～、新年あまけして……じゃなかった！

　あけまして、おめでとうだよ～！！

　今年も色々と面白い都市伝説を紹介して行くから、宜しくね～♪

　なんかまた、随分と張り切ってるわね。

　初詣で引いたおみくじに、何かいいことでも書いてあったとか？

　いえいえ、そんなんじゃございませんよ～。

　ちょっと素敵な初夢を見ちゃったから、そのついでに夢にちなんだ都市伝説でも語らせてもらおうと思いまして！

　夢に関する都市伝説か……。

　そういうのは、むしろ入間の方が専門ではないのか？

　残念だけど、今回の話はジンクス云々とは関係ないんだよね。

　まあ、今年は猿年だし、それに合わせて『猿夢』って話を紹介しちゃうよ！

　猿の夢……。

　なんだかタイトルから想像がつかないんだけど、具体的にはどんな話なのかしら？

　電車に乗ると恐い目に遭うって……なんか、早くも雲行きが怪しい気がするんだけど、大丈夫なの？

　トンネルでアナウンス？

　普通、電車って駅が近づくと放送が流れるけど……次の駅が、トンネルの中にあったのかしら？

　残念だけど、そうじゃないんですなぁ……。

　流れて来たアナウンスは、「次は活けづくり～」って言っていてね。

　ふと、後ろを振り返ると……奇妙な小人みたいなのが群がって、乗客の一人を刃物で解体していたんだってさ……。

　ちょっと！

　新年早々、縁起でもない話を聞かせないでよ！

　だが、確かに恐ろしい話ではあるな。

　アナウンスの通りに乗客が殺されるのだとすれば……次に殺されるのは自分かもしれないという恐怖が、常に付き纏うことになる。

　犬崎君の言う通りだよ。

　まあ、それでも何故か、もう一人のお客さんは無表情のまま固まっていたらしいけど……その人も、次のアナウンスが流れたことで、無残な姿に変えられちゃうんだ。

　無残な姿って……正直、人間の活けづくりほど無残なものもないと思うけど、それより酷い目に遭っちゃうわけ？

　ふっふっふ……そうですなぁ。

　人間活けづくりが行われた後、次に流れたアナウンスは「抉り出し」だったんだよね。

　その名の通り、今度は出て来た小人がスプーンみたいな物を持って、後ろの乗客の目玉をくり抜いちゃったんだ。

　それもそれで酷い話ね……。

　で、最後の死刑は、いったいなんなの？

　このまま行くと、今度は夢を見てる本人が、とんでもない殺され方しそうなんだけど。

　照瑠の言う通り、このままだと、確かに夢を見ている本人もグチャグチャのバラバラにされて死んじゃうよね。

　実際、次に流れたアナウンスは「挽肉」で……例の小人が、今度は小型のミンチドリルみたいなの持って、続々と群がって来たみたいだし。

　しかし、こうしてお前が話をしているということは、この夢を見た者は殺されずに済んだということか？

　それとも、やはり夢は夢で、殺されたところで目が覚めたのか？

　殺されずに済んだって言うより、殺される前に逃げたって言った方が正しいかもね。

　最後に自分がミンチにされる寸前になって、この夢を見た人は「夢なら覚めろ！」って強く願ったらしいんだよ。

　すると、辛うじて夢の世界から脱出して、目を覚ますことができたんだ。

　まったく、やれやれって感じね……。

　でも、夢でよかったわ。

　これでもう、変な電車に乗ってミンチにされる心配もないってことよね？

　さぁて……それはどうでしょうなぁ……？

　実は、この話には後日談があってね。

　ある晩、例の夢のことも忘れて寝ていると、なんと夢が途中から始まったんだ。

　それも、自分がミンチにされる直前の、「抉り出し」のシーンからね！

　そんな！

　しかも、ミンチにされる直前から始まっちゃうなんて……。

　せめて最初から始まってくれれば、そもそも電車に乗らないっていう選択肢だってあったはずなのに……。

　夢が覚めたのに、アナウンスが耳元で聞こえたということは……いよいよ、夢が現実の世界まで侵食し始めたということか？

　それとも、これは最初から夢でもなんでもなく、全て現実のことだったのか……。

　さあ、それは私にも判らないね。

　この話を残した人も、今のところは３回目の夢を見てないってことになっているけど……そもそも、夢の中で殺されたらどうなるのかな？

　実際は既に殺されちゃってて、現実世界では心臓麻痺か何かで処理されてる可能性もあるんだよ。

　逃げ場のない悪夢……まるで、どこぞのＢ級ホラー映画に出て来た殺人鬼みたいね。

　でも、いざ自分が当事者になったら、冷静に判断して行動できる自身は、私もちょっとないかな……。

　現実世界とシンクロする夢か……。

　おまけに正体も不明となれば、確かに恐ろしいものがあるな。

　まあ、現実世界とシンクロするといえば、なにも悪夢だけどは限らないんだが……。

　ところで嶋本、お前は初夢を見たと言っていたが、それはどんな夢だったんだ？

　ほうほう、私の初夢が聞きたいと……。　

　では、照瑠と犬崎君には、特別に教えてしんぜよう！

　なにを隠そう……今年の私の初夢は、大金持ちになってイケメンの逆ハーレム作って、豪邸で暮らす夢だったんだよ～！！

　あら？

　何を話してるのかと思えば、初夢の話？

　あっ、美月じゃない！

　もしかして、あなたも何か特別な初夢を見て、それを話に来たのかしら？

　別に、そういうわけじゃないんだけどね。

　あ、そうそう！

　その、初夢の話なんだけど……自分が見た夢の内容、他人に話すと現実にならなくなっちゃうから、素敵な夢を見ても誰かに喋ったらＮＧよ！

　えぇっ！？

　そ、それじゃ、私の逆ハーレムは……豪邸暮らしは……ぜ～んぶ夢のまま消えちゃったってこと！？

　うぅ……酷いよぉ……。

　新年早々、人に気持ち悪い夢の都市伝説なんか語るから、これはきっと天罰ね。

　それに、逆ハーレムだかなんだか知らないけど、夢は自分の力で叶えなさいってことじゃないかしら？

　そんなぁ……。

　……ハッ！　きっと、これこそが悪い夢に違いない！

　私はまだ、悪い夢を見ているんだ！

　夢なら覚めろ、夢なら覚めろ、夢なら覚めろ～！！！！！

　なにやら、いつになく必死だな……。

　だが、悲しいことに、これは全て現実だ。

　九条の言う通り、叶えたい夢があるのなら、それは自分で叶えることだな……。