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File No.22 …… 首なしライダー

 

 うぅ……ね、眠い……。

 

 どしたの、照瑠?

 いつになく、眠たそうな顔してるじゃん?

 ええ、ちょっとね……。

 最近、私の神社の近くを夜になるとバイクが大音量で通るようになって……。

 今時、暴走族なんて時代遅れもいいところよね。

 なるほど、その騒音で眠れないってわけなんだね。

 まあ、暴走族っていうよりは、単に峠攻めするために集まった走り屋かもしれないけど。

 だが、迷惑なことに変わりはないな。

 なんだったら、俺が連中を追い払ってやっても構わないが?

 少しばかり痛い目を見れば、連中も攻める峠を変えるだろう。

 

 痛い目って……。

 なんか、犬崎君に任せちゃうと、それだけで物凄く不安なんですけど……。

 まあ、普通じゃ済まない目に遭わされそうだもんね、実際。

 でも、騒音に悩まされてる人の中には、やっぱり我慢できない人もいたみたいだよ。

 そういう人が過剰防衛に走った結果……首なしライダーみたいな怪物が生まれちゃったんだろうね。


 

 首なしライダー?

 なんか、どこかで聞いたことあるような、ないような……。

 たぶん、何かの怪談話で聞いたことがあるんじゃない?

 都市伝説に登場する怪人の中では、比較的有名なやつだしね。

 首から上を失った、バイク乗りの幽霊の話っていうのは……。

 首から上を失ったってことは、事故で亡くなった人かしら?

 でも、現れるのはバイクに撥ねられた人じゃなくて、バイクに乗ってる人の方なのよね?

 首のない亡霊の話か……。

 洋の東西に関係なく、そういった話は枚挙に暇がないからな。

 日本では首なし武者の亡霊話、西洋ではデュラハンや狩人ハーンといった伝説の怪物が、昔から多く語り継がれてはいるぞ。


 後は、アメリカにあるスリーピー・ホロウの伝説なんかも有名だよね。

 これも首なし騎士の話だけど……映画にもなったくらいだから、知ってる人は知ってるんじゃないかな?

 へぇ……。

首のないお化けの話って、随分色々とあるのね。

 でも、首なしライダーがそういった亡霊の仲間だとして、いったい何が目的で現れるのかしら?

 首なしライダーの目的か……。

 古来より、首の無い亡霊は自らの首の代わりを求め、生者の首を狩るという。

 首なしライダーがそういった連中と同じ存在であるならば、やはり人間の首を求めて現れるのだとは思うが……。


 うん、そうだね。

 犬崎君の言ってるので、だいたい合ってるよ。

 でも、首なしライダーは別に誰彼構わず首を狩るってわけじゃないんだよね。

 その辺が、昔から語られる怪物とは違うのかな?

 

 どういうこと? 

 そもそも、首なしライダーはなんで首から上がないのか……その理由、二人ともちゃんと知ってる?

 一昔前だと、『事故を起こしてガードレールで首を切断された』とか、『単に黒いヘルメットを被った人が、深夜にバイクを走らせていて誤認された』なんて言われていたんだけど……。


 

 事故で亡くなった人間の亡霊か、はたまた単なる見間違いということか……。

 だが、当然、それらは真の理由ではないのだろう?

 その通り!

 今でも事故説や誤認説は残ってるんだけど……一番有力なのは『首を切断されて殺された』から、失った首を探してる、あるいは自分を殺した犯人を探してるってのが、最も有力な説なんだよね。

 

  殺されたって……それ、殺人事件の被害者ってこと?

 うん、そうだよ。

 首なしライダーになった人は、生前は暴走族だったみたいなんだ。

 でも、彼の暴走行為に腹を立てた住民の一人が、ある晩、道にロープを張っておいたんだって。

 このロープに引っ掛かって、事故でも起こせばざまあみろってことでね。


 ちょっ……!

 いくらなんでも、それはやりすぎじゃない!?

 ロープのせいでバイクから転倒したら、並の怪我じゃすまないわよ!?

 まあ、普通に考えればそうだよね。

 そして、照瑠の予想している通り、事故は起きてしまったんだ。

 その事故っていうのが……。

 

 首なしライダーを生み出した事故というわけか。

 そういうこと。

 ロープが張ってあったのは、運悪く暴走族の首の高さと同じだったからね。

 猛スピード出したバイクでロープに突っ込んで、それが首に直撃したら……後は、何も言わなくても解るんじゃない?


 うげぇ……。

 なんだか想像したら、物凄く胸が悪くなって来たわ。

 確かに暴走行為も迷惑だけど、やっぱり人を殺すような罠を仕掛けるのはやり過ぎよね。

 素直に警察に任せておけばよかったのに……。


 まあ、人間、一度自分が正しいと思うと、心のストッパーが外れちゃうこともあるからね。

 そうやって暴走した正義が生み出した悲劇の亡霊。

 それが、首なしライダーってことなのかな。

 

 そう言われると、なんだか元が暴走族でも、ちょっと同情しちゃうわね。

 確かに暴走行為は悪いことでも、それに見合った罰を受けなきゃフェアじゃないよね。

 悪い奴は、とにかく死んでしまえばいいなんて……さすがにそこまで行くと、どっちが悪者か判らなくなっちゃうしね。


 警察が頼りにならなければ、自分達でやるしかないか……。

 自警団的な発想は結構だが、行き過ぎて過剰防衛になっては単なるリンチだ。

 それでは、暴走族連中がやっているチーム間の抗争と何ら変わりないからな。

 さっき、自分で始末するみたいなこと言ってた人の台詞じゃないと思うんですけど……。

 頼むから、犬崎君は妙なことしないでね。

 あなたは手加減しているつもりでも、一般人からすれば洒落にならない事態になることの方が多いから……。


 心配するな、九条。

 嶋本の話を聞いて閃いた。

 首なしライダーの話には、誤認説もあるのだろう?

 ならば、俺達がそれを利用してやればよいだけのことだ。

 

 利用って……具体的に、どうするつもりなのさ?

 私にも、詳しく教えて下さいませぬか?

 簡単な話だ。

 俺が黒服に身を包み、首だけ晒して連中が走る横をバイクで走り抜ければいい。

 幸い、俺は少しばかり人間離れした容姿をしているからな。

 連中を驚かせて撤退させるには好都合だ。

 ちょっ……!

 冗談言わないでよね!

 そんなことされたら、暴走族がいなくなった代わりに、私の神社の周りが心霊スポット扱いされちゃうじゃない!

 しかも、なんで頭じゃなくて、胴体の方を見えなくするわけ!?


 決まっているだろう、そんなのは?

 他人を驚かすには、在り来たりの存在では効果が薄い。

 だからこそ、敢えて逆転の発想を狙ってみたつもりなんだが……気に入らなかったか?

 当たり前でしょ!

 だいたい、そもそも犬崎君ってバイクを運転できたの?

 なんか、その辺も凄く不安なんだけど……。

 それも心配無用だ。

 駅前に停められた適当なバイクに、俺の犬神を……黒影を憑依させて操れば、何の問題もないだろうからな。

 普通に車両盗難と無免許運転じゃない、それ……。

 どこぞの歌手の歌詞じゃあるまいし……頼むから、盗んだバイクで暴走族相手に妙な戦いを始めないでよね……。

 首なしライダーならぬ、首だけライダーってわけですか……。

 案外、犬崎君を軽く煽れば、それだけで新しい都市伝説が生まれるのかもしれませんなぁ……。

 本ページの画像は、一部、ギャラリー田園調布様キャラメイクファクトリーを使用して作成させていただきました。

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